クローズグリップダンベルプレス|インクラインとの違いとやり方

クローズグリップダンベルプレスは、ダンベルを近づけて持ち、肘を外へ開きすぎずに押し上げる種目です。水平なベンチを使うフラット版と、背もたれを起こすインクライン版があります。
この記事では、手のひらを向かい合わせて持つフォームを基本に、違いとやり方を紹介します。まずは自分のベンチでできるほうから、構えるところと終えるところまで確認してみましょう。
フラットとインクラインの違い
大きな違いは、ベンチの角度です。どちらも胸・肩・腕を使うプレス動作ですが、背もたれの角度を変えると、それぞれの筋肉の働き方も変わります。
| 比べる点 | フラット | インクライン |
|---|---|---|
| ベンチ | 背もたれが水平 | 背もたれを起こす |
| 選ぶ場面 | 水平な姿勢で基本動作を確かめたいとき | 胸の上部を意識した種目を取り入れたいとき |
| 必要な器具 | フラットベンチ、または水平にできる可変ベンチ | 角度を調整できるベンチ |
| 重量 | 構えと戻しまで扱える重さを選ぶ | フラットと同じ重さにこだわらず、軽い重量から確認する |
角度を変えられるベンチなら、フラットとインクラインのどちらにも使えます。私が使っているのはこちらです↓
胸の上部を意識するならインクラインも選択肢
ベンチの角度を変えたバーベルプレスの研究では、30度で大胸筋の上部の筋活動が高く、60度では肩の前側の筋活動が最も高いという結果が報告されています。背もたれは起こせば起こすほど胸の上部に効く、というわけではありません。
ただし、これはバーベルを使った研究です。ダンベルで握り方を変えた場合まで同じ条件ではなく、「30度なら必ず一番筋肉がつく」とは言えません。筋電図で見たその場の活動の大きさも、長期的な筋肉の成長をそのまま表すものではありません。
迷ったらフラットで動きを確かめる
どちらから始めるか迷う場合は、まずフラットで持ち方と押し上げる動きを確かめてみてください。角度を合わせる手間がなく、水平なベンチがあれば取り組めます。これは始めやすさを考えた提案です。
胸の上部を意識して種目を選びたいときは、インクライン版も選択肢になります。種目を変えるときは、同じ重量で同じ回数ができることを前提にせず、軽い重量で動きを確認しましょう。
私は自宅で、フラットとインクラインの両方のクローズグリップダンベルプレスを行っています。使っているのはIROTECのプレート式ダンベルです↓
自宅のベンチで角度を切り替えるとき
ダンベルを持ったまま、背もたれの角度を変えないようにしましょう。いったんダンベルを床の安定した場所へ置き、ベンチから降りて調整します。
背もたれを起こしたら、その製品の説明書に沿って支えや固定部を確認します。座面も調整できる場合は、身体が前へずれにくい位置に合わせ、ダンベルを持つ前に座って安定を確かめてください。
固定式のフラットベンチに箱やプレートをかませ、無理に傾けて代用するのは避けましょう。
クローズグリップインクラインダンベルベンチプレス

必要な器具
クローズグリップインクラインダンベルベンチプレスは、大胸筋や上腕三頭筋などを使うプレス種目です。ダンベルと、背もたれの角度を調整できるベンチを使います。
これは以下のモノを用意すれば実施可能です。
- ダンベル
- インクラインベンチ
ダンベルを選ぶときは、重さだけでなく、太ももで支える面の形状も確認しましょう。オン・ザ・ニーで構える際に、突起が当たらず、安定して支えられるかが確認点です↓
私はプレート式のIROTECのダンベルを使っています。太ももで受ける場合は、シャフトの先端やナットを当てず、プレートの面を安定して支えられるかを軽い重量で確かめてください↓
背もたれの角度を調整できるベンチなら、フラットとインクラインの両方に使えます。使用前に、角度の固定と製品の耐荷重・使い方を確認してください↓

ターゲットとなる筋肉の場所
この種目では、大胸筋に加えて上腕三頭筋や肩の前側も働きます↓↓
ベンチに傾斜を付ける方法は、胸の上部を意識したいときの選択肢です。ただし、狭い握りのダンベルプレスが「大胸筋の上部内側だけ」に効くと示されたわけではありません。

正しいフォーム
フォームを確認するための動画を2本紹介します。1本目はインクライン版の動作です↓↓
スタートポジションまでダンベルを持っていく方法はこちら(オン・ザ・ニーの説明)↓
ここでは、ダンベル同士を接触させて行う方法を紹介します。ベンチの角度を固定し、まずは軽い重量で構えから終了までを確認しましょう。
- 足を床につけ、頭・背中の上部・お尻をベンチで支えます。肩をすくめず、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 胸の前でダンベルを近づけます。手首を折ったり、器具をぶつけたりして、無理に接触させないでください。
- 肘を外へ張りすぎず、肩や手首に無理のない範囲まで下ろします。胸に必ず触れさせる必要はありません。
- 息を吐きながら押し上げます。手首と前腕で重さを支えられる軌道を保ち、頭の方へ投げ出すような動きは避けます。
- 下ろすときも動きをコントロールします。戻す余裕を残してセットを終えてください。
肩甲骨を寄せて胸を張った状態は、下ろすときも押し上げるときも、動作中ずっとキープします。ここがいちばんのポイントです。胸が丸まると、肩へ負担が寄りやすくなります。
ダンベル同士を接触させることと、強く押し合わせ続けることは分けて考えます。プレートやナットが干渉する場合は、接触にこだわらず間隔を空けるか、扱える器具・重量を選び直しましょう。
負荷の上げ方
負荷を増やすときは、構える動作からセット後に戻す動作まで扱えるかを確認しましょう。重量・回数などの増やし方は、こちらの記事も参考にしてください↓
続いて、ベンチを水平にしたフラット版のやり方を紹介します。
フラットのクローズグリップダンベルプレスのやり方
最初は軽い重量で、次の順番を確認します。ベンチへ寝るまでの構え方は、後の「自宅で行うときの準備と注意点」も参考にしてください。
- 水平なベンチに仰向けになり、足を床につけます。肩をすくめず、肩甲骨を軽く寄せて、頭・背中の上部・お尻をベンチで支えます。
- 手のひらを向かい合わせ、胸の前でダンベルを構えます。手首を大きく反らしたり内側へ折ったりせず、握りを安定させます。
- 肘を外へ張りすぎず、ダンベルを胸の近くへゆっくり下ろします。胸へ必ず触れさせようとせず、肩や手首に無理がなく、自分で止められる範囲にします。
- 息を吐きながら肘を伸ばし、押し上げます。肩をすくめたり、ダンベルをぶつけたりせず、左右をそろえて動かします。
- 同じ動きを繰り返します。自分で構えを戻せる余裕を残してセットを終えてください。
フラットでも、肩甲骨を寄せて胸を張った状態を動作中ずっとキープします。疲れてくると胸が落ちやすいので、キープできなくなったらセットを終える合図だと考えてください。
インクライン版で紹介した方法とは違い、ここではダンベル同士を強く押しつける必要はありません。近づけるために手首や肘がねじれるなら、少し間隔を空けて構いません。
上腕三頭筋に効かせるコツ
腕の裏側にある上腕三頭筋も、プレス動作で働きます。バーベルを一定の位置で支えた研究では、握り幅を狭くすると上腕三頭筋の筋活動が増えたと報告されています。ただし、ダンベルの反復動作をそのまま調べた結果ではありません。
三頭筋を意識するときも、ダンベルを限界まで寄せることより、肘を曲げ伸ばしする動作を安定させましょう。
肘を外へ開きすぎず、手首をまっすぐ保つ
ダンベルを下ろすとき、肘が真横へ広がりすぎないようにします。一方で、肘を胴体に押しつけて動きを窮屈にする必要もありません。
手首が内側へ折れている場合は、ダンベルの間隔を少し広げてみてください。手の位置だけ狭めて肘を外へ残すと、腕が斜めになりやすいため、握りから肘まで無理なく支えられる位置を探します。
押し上げも下ろす動きもコントロールする
押し上げるときは、肘を急に突っ張らせず、滑らかに伸ばします。重さを勢いで放り上げるようになるなら、いったん重量を下げましょう。
下ろす動きも、自分で止められる速さにします。重いダンベルを小さく動かすことにこだわらず、毎回ほぼ同じ範囲で動かせる重さを選んでください。胸・肩・肘などに痛みが出る場合は、そのセットを中止します。
自宅で行うときの準備と注意点
自宅で一人で行う場合は、持ち上げる前に「どう構えるか」「終わったらどう戻すか」まで決めておきましょう。
オン・ザ・ニーで構える前に確認すること
オン・ザ・ニーは、座った状態でダンベルを太ももに受け、寝る動作に合わせて胸の前へ運ぶ構え方です。名前に「ニー」と入っていますが、膝のお皿に重さを集中させるような置き方は避けます。
プレート式ダンベルは、シャフトの先端やナットが外へ出ていることがあります。太ももへ置く部分を先に確認し、突起が身体に当たる形では使わないでください。プレートの面を安定して受けられず、縁だけに重さがかかる場合も、無理にこの構え方を使いません。
構えてから寝るまでの流れ
- ベンチの端に座り、左右のダンベルをそれぞれの太ももで安定して受けます。手は離さず、しっかり握ったままにします。
- ダンベルを身体から遠ざけず、背中をベンチへ下ろす動きに合わせて胸の前へ運びます。太ももは補助として使い、勢いよく蹴り上げたり後ろへ倒れ込んだりしません。
- 背中とお尻が安定したら、足を床へつけ、握りと肘の位置を整えてからプレスを始めます。
インクラインでは、起こした背もたれへ身体を預ける形になります。フラットで慣れた重量でも、同じように構えられるとは限りません。うまく移れないときは重量を下げ、必要なら補助できる人に構え方を確認してもらいましょう。
構え方をもう一度見たい方は、こちらの動画も参考にしてください(オン・ザ・ニーの説明)↓
プレートとナットはセット前に確認する
左右のダンベルと、それぞれのシャフトの両端について、プレートと留め具が正しく取り付けられているか確認します。緩みやがたつきがある状態で、胸の上へ持ってこないようにしてください。
ダンベルを近づける際は、プレートの縁やナットが互いに引っかからないかも確認します。接触させたまま動かす方法を選ぶ場合も、強くぶつけて位置を合わせたり、片方をもう片方へ引っかけて支えたりしません。
私が使っているのは、2019年から使用しているIROTECのラバーダンベル60kgセットです。ナットが固着した経験もあります。締め方や緩みへの対処は、使っている製品の説明書やメーカーの案内に従いましょう。外せないナットを工具で無理に回すなど、自己流の対処は避けてください。
ナットが回らなくなったときの外し方は、こちらの記事にまとめています↓

セットを終えるときも、ダンベルを身体の横へ投げ落とさないようにします。軽い重量で練習した、太ももへ戻して座る動作まで行える余裕を残してください。
重量は戻せる範囲で少しずつ増やす
自宅で使う重量は、押し上げられるかだけでなく、構えと片づけまで扱えるかで選びます。最初から普段のダンベルプレスと同じ重さにせず、この握り方で動きを確認してください。
私が持っている最小のプレートは0.5kgです。0.5kgのプレートを1本のダンベルの両端に1枚ずつ追加すると、そのダンベルは合計1kg重くなります。左右のダンベル両方へ同じように追加する場合は、2本の合計で2kg増えます。
「0.5kgのプレートを足す」と「片手の重量が0.5kg増える」は同じではありません。左右とシャフト両端のバランスをそろえ、増やした結果、構えやフォームが崩れるなら元の重さへ戻しましょう。
私が使っているプレート式のダンベルはこちらです↓
ダンベルやベンチをこれから選ぶ方は、こちらの記事も参考にしてください↓

よくある質問
クローズグリップと普通のダンベルプレスは何が違いますか?
一般的なダンベルプレスに比べ、ダンベルの間隔を狭め、肘を外へ開きすぎずに行う点が違います。この記事では手のひらを向かい合わせる持ち方を基本にしています。
「胸を使わず三頭筋だけを鍛える種目」という意味ではありません。名前だけで筋肉の使われ方を決めつけず、胸の前で無理なく支えられる持ち方にしましょう。
ダンベル同士はくっつけたほうがよいですか?
必須ではありません。ダンベルを押し合わせながら行う方法は、スクイーズプレスやヘックスプレスと呼ばれることがありますが、名称の使われ方は一定ではありません。
まずは、ダンベルを近づけても手首が折れず、肘が無理なく動くことを優先してください。プレート式で縁やナットが干渉する場合は、接触させることにこだわらず、少し離して扱います。
インクラインの角度は何度にすればよいですか?
角度を選べる場合は、30度前後を試す目安にできます。これはバーベルを使った筋活動の研究を参考にした案で、クローズグリップダンベルプレスの最適角度を示す数値ではありません。
ベンチの設定段階に合わせ、軽い重量で構えと動きを確かめましょう。肩の前側ばかりがつらい、無理なく下ろせないと感じる場合は、角度や重量を見直してください。痛みがある場合は中止します。
何kgから始めればよいですか?
一律に「片手◯kgから」とは決められません。寝る姿勢への移動、反復、座った姿勢への戻しまで、自分でコントロールできる軽い重量から始めてください。
すでに普通のダンベルプレスをしている人も、握り方やベンチ角度を変える最初のセットは、軽い重量で確認しましょう。記録には「片手の重量」を書いておくと、次回に比べやすくなります。
フラットとインクラインは両方やる必要がありますか?
初めから両方を行う必要はありません。まずは手持ちのベンチでできる種目の動きに慣れることから始められます。
水平なベンチしかなければフラット版で取り組み、可変ベンチがあって胸の上部も意識したい場合はインクライン版を検討してください。両方行う場合も、重さと回数は種目ごとに記録しましょう。
その他のトレーニング種目の紹介
その他のトレーニングの種目および方法については、別の記事で紹介しておりますので、よかったらこちらも参考にしてください↓
▼部位別トレーニングまとめ記事
▼部位別トレーニングの個別記事
| 鍛える部位 | 種目名 | 強度 | やり方 |
|---|---|---|---|
| 胸 | ダンベルベンチプレス | 低〜高 | 解説記事 |
| 胸 | プッシュアップ(腕立て伏せ) | 低〜中 | 解説記事 |
| 胸 | ダンベルフライ | 低〜高 | 解説記事 |
| 胸(上部) | インクラインダンベルフライ | 低〜高 | 解説記事 |
| 胸(上部) | インクラインダンベルベンチプレス | 低〜高 | 解説記事 |
| 胸 | クローズグリップダンベルプレス | 低〜中 | 解説記事 |
| 胸、腕(三頭) | ディップス | 中〜高 | 解説記事 |
| 腕(三頭) | ダンベルプルオーバー&エクステンション | 低〜中 | 解説記事 |
| 腕(三頭) | ダンベルフレンチプレス | 低〜中 | 解説記事 |
| 腕(二頭) | ダンベルカール | 低〜高 | 解説記事 |
| 腕(二頭) | ハンマーカール | 低〜高 | 解説記事 |
| 腕(二頭) | インクラインダンベルカール | 低〜高 | 解説記事 |
| 腕(二頭) | インクラインハンマーカール | 低〜高 | 解説記事 |
| 腕(二頭) | ナロー&アンダーグリップで行うチンニング | 低〜高 | 解説記事 |
| 背中 | 懸垂(チンニング) | 中〜高 | 解説記事 |
| 背中 | ワンハンドダンベルロウ | 低〜高 | 解説記事 |
| 肩(前部) | ダンベルショルダープレス | 低〜高 | 解説記事 |
| 肩(前部) | アーノルドプレス | 低〜高 | 解説記事 |
| 肩(中部) | サイドレイズ | 低〜中 | 解説記事 |
| 肩(前部) | フロントレイズ | 低〜中 | 解説記事 |
| 肩(後部) | サイドライイングリアレイズ | 低〜中 | 解説記事 |
| 肩(中部) | インクラインサイドレイズ | 低〜中 | 解説記事 |
| 肩(前部) | インクラインフロントレイズ | 低〜中 | 解説記事 |
| 肩、僧帽筋 | アップライトロウ | 低〜高 | 解説記事 |
| 僧帽筋 | シュラッグ | 低〜高 | 解説記事 |
| 腹筋 | プランク | 低 | 解説記事 |
| 腹筋 | シットアップ | 低〜中 | 解説記事 |
| 腹筋 | クランチ | 低〜中 | 解説記事 |
| 腹筋 | レッグレイズ | 中 | 解説記事 |
| 腹筋 | リバースクランチ | 中 | 解説記事 |
| 腹筋 | ツイスティングリバースクランチ | 中 | 解説記事 |
| 腹筋 | ボールクランチ | 中〜高 | 解説記事 |
| 腹筋 | アブローラー | 低〜高 | 解説記事 |
| 脚 | スクワット | 低〜高 | 解説記事 |
| 脚 | ナロースタンススクワット | 低〜高 | 解説記事 |
大切なトレーニング8つのコツ
その他、トレーニングで筋肉を大きくしていくための大切なコツについて、以下の記事で説明しています↓


トレーニング全体の進め方は、基本のコツをまとめた前編・後編も参考にしてください。
